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特撮・アニメの作品レビューの同人誌を発行しています 大泉パラダイスのブログです。
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映画「あしたのジョー」
観てきました。
ということで以下、映画のネタバレありますので
未見の方が読む場合は自己責任でお願いします。

つってもストーリー自体は
よく知られてるでしょうし
ほとんどそのままでしたが。

映画、マジで感動しました。
良かったです。
アニメ版の主題歌の前奏と共にタイトルが出てくる辺りで
あ、なんかいいないいな、
ドヤ街で矢吹丈が暴れるアクションシーンでちょっと感動。
最近の若者映画では理由もなく相手を半殺しにするような描写が普通になりましたよね。
不良をかっこよく描く、といったような元祖の一つとして
「あしたのジョー」もあるんだと思いますけど、
丈がこの後、プロボクサーとして活躍して行くという流れを
こちらが予め知っているせいもあると思うんですけど、
丈の華麗な喧嘩っぷりがボクサーやスポーツ選手としての
才能の片鱗を見せる表現にちゃんとなっていたのが
感動の理由だと思います。
丈の蹴りでやくざがポーンとすっとぶ動きとかが
気持ちよくて、それが丈のキャラクターの表現、丈の若さの表現に
なっていて、ちょっと泣けました。
昔の青春ドラマの殴り合いとかのニュアンスに近いかも知れません。
アクションのショットとショットの合間に
もっと段平のカットが入っていても良かったかなあとも思いながら
観てましたが、ちょっと説明的すぎて却ってつまらないかも。

丈の才能を見抜いた段平は
警察におしかけたり、建設現場で働いてお金を作ったりして
丈がボクサーになる準備を進める訳ですが、
人が本気で何かに打ち込もうとする姿がちゃんと描けていて
なんだかもうこの辺も泣けて泣けて(笑)

もしかすると昭和40年代を舞台にしているからこそ
出るリアリティなのかも知れません。

丈の演技も良かったです。
ベースがアニメ版のあおい輝彦の声にあるのが
よくわかりました。全然違和感なかったです。
丈のあの髪型の再現は、ボクシングシーンで殴られた時の
スローの表現の中でやってましたね。粋なCGの使い方なんじゃないでしょうか?
山ピー自身がもろに出たのは力石が死ぬシーンの
叫びの演技だけかな。

実写版のヤマトでは、直前に必ずこの映画の
予告がくっついてたので、さんざん観ていて
段平の演技に笑っちゃったりしてたんですけど
ごめんなさいって感じでしたね。
アニメのものまねと言えばそうなんでしょうけど
あそこまで完璧だと、ちゃんと映画の中の人物として成立しますね。
反省。

白木葉子はたぶん観る前はたいていの人が
香里奈の水商売っぽい感じに違和感持つような気がするんですが
全然そんなことなかったです。
今回の白木葉子はドヤ街で育ったという、
陰のある設定なこともあって、香里奈のちょっと悲しそうなあの顔が
合ってたと思います。
完璧なお嬢様然としてる必要がなかったと言うか。
原作ではええとこのお嬢さんが丈に恋してしまう落差に
面白さがあるわけですが、今回そういう展開はほとんどないですし
(微妙にそう感じさせる表情とかはありますが)。

力石の減量後のあのあばらは
さすがにこれはCGでしょ~と、パンフレットに書いてあるように
誰でも思うように思いました。
本当にあそこまで痩せたそうですが
CGだとしてもそれはそれでうまくできたCGだと思うので
実際に痩せたというのが嘘だとしても、やっぱり驚きです。
あの腹は見て「うわっ」と思いましたから。
映画としてのリアリティは、本物にしてもCGにしてもちゃんとあるので
観客としてはオッケーです。

ボクシングシーンは
クロスカウンターなど、ストップモーションになって
カメラが回り込む、みたいな映像に凝ったところほど
迫力がなく感じられるほど、生の打ち合いのカットが
良かったです。
ハイスピードのカット、ダウンする丈のカットなど
ゆっくりした動きが濃密な画になっていて、これも良かったです。
山ピーの胸と胸の谷間の出来具合とかも、あ、すげーなと。
パンチを受けた後にマウスピースが宙を舞うカットがなかったのも軽ーく残念だったかな。



段平の台詞の中では
きめ台詞とも言うべき「立つんだジョー~~」とかよりも
「わしのジョー」っていう、丈を溺愛する感じの台詞が好きなんですが
これがこっそりあったのが良かったです。

力石との勝負がついた後、握手を求める丈が
「さすが力石だ」っていう台詞が好きなんですが
これが無かったのはちょっとあれ?って感じ。

力石の死因を葉子に丈に対して言わせた脚本は
ちょっとあれ?って感じましたが、
葉子が力石の死から立ち直る表現として
この台詞を使ったのでしょう。
映画の中では力石の死の後、失踪していた丈が帰って来て
終わるわけで、原作のように他の選手との戦いの中で
丈が立ち直るところまでは映画の時間の中では当然やれず、
ましてや葉子の立ち直りまでは描けないことから、
この台詞を丈に対して言わせたのかなあ、と思いましたが
力石と丈の試合を通して、考え方が変わった葉子が
ドヤ街の再開発をあきらめる、という展開も
力石が死んだ重みとは、ちょっと関連が薄く
葉子と力石の関係性は割りとあっさりしてしまった感があります。

映画の構成の都合上、葉子はちょっと割を食ったかな。
ちなみに「再開発」というのは、この時代の言い方としては
ないような。普通に「開発」で良いのでは。

ウルフ金串のキャラ造形は全然違いました。
野性味と粗暴性のかたまりみたいで
ハリマオ(空中でくるくる回ってパンチしたりする)に近いかも。

丈がラストで帰ってくるシーンは
やっぱり夕陽をバックにとぼとぼ歩いてきて…
ってのを想像しながら見てましたが
それはなかったです。
映画冒頭の青空に飛ぶ紙飛行機との関連で
青空でしたが、映画の構成上はこれでしょうね。


モブシーンがちゃんとしてるって点を特筆しておきたいです。
少年院のエキストラや、警察官、試合の観客などなど
ことごとく良かったです。
「その他大勢」の人がちゃんとその他大勢として機能してて
シーンの中で実在感があり、画として成立してました。
それぞれの役者さんがやるべきことを理解しているのだと思います。
隣の人と一斉に同じことをするみたいなダメな群集になっていなくて。
ヤマトと大違いです。
撮影監督は一緒なので、やはり監督のセンスなんでしょう。
音響も良さもモブシーンの良さの理由の一つだと思います。
生のガヤだけでは成立しないからでしょう、少年院のシーンなど
実際の空間で発生するであろう音よりも厚みのある音になっていて
自然な臨場感を生み、画面のグレードを高めていたと思います。
他に、新聞記者や実況のアナウンサーなど
あの時代のキャラとしておどろくべき自然さ。


あとは、
あおい輝彦や尾藤イサオがちらっとでも出てたら
嬉しかったかな。


全体に完成度が高く、安心して見ていられて
どっぷり浸れる映画でした。
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